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□09-情報屋シド
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第9章 情報屋シド
どれだけ階段を下りていったことか、俺たちはようやく一番下までたどり着いた。
そこには、また扉があって、賑やかな声が漏れて聞こえてくる。
ニカがゆっくりと扉を開けた。
それと同時に、目が眩むような光が入ってくる。
「…なんだ、ここ」
「す、すごぃ」
そこはドームの中のようになっていて、まるで地上のように明るかった。
そして、人々はガヤガヤと騒がしく、食堂のような所では食べ物の取り合いをしていたり、また違う所ではギャンブルをしていたり、刀を抜いて暴れているやつだっている。
「きっと、ここにいる人たちは、何もかも好き勝手にやってるのね」
ニカが、目の当たりにしている光景を見て言った。
「このゴチャゴチャした人ごみの中から、シドという男を探し出すのはちょっと難しい気がするんですけど…」
と、ボーッと突っ立っていると、酔っぱらった中年親父たちがこっちにやってきた。
中年親父って言っても、腰のベルトにはしっかりピストルが挟まっているから、ただのおっさんじゃなさそうだ。
「よぉ、ねぇちゃん。そんなひ弱そうな男とおらんと、こっち来て一緒に飲もうや〜」
「ひ、ひ弱っΣ( ̄口 ̄;)!」
「(笑」
ニカは俺の言われように苦笑しながら、その親父たちの方へ向かった。
ガ―(+д+‖)―ン…
「お、おぃ!ニカッ!ま、まさかお前、お、俺がひ弱だと思ってんの?!」
「バーカ(笑。ちょっと聞いてくるだけよ」
そう言って、ニカは酔っぱらい親父たちの所へ向かっていく。
「……」
俺は呆然とそれを見つめていた。だって…ショックで…。。。
ニカは普段と違ってニコニコと笑い、愛想良く親父たちとしゃべっている。
ありゃ、仕事モードだ。
しばらくすると、ニカが親父たちを振り切って戻ってきた。
「おかえり」
「ただいま。シドさんは、このホールから出て、まっすぐ行った行き止まりの店にいるらしいわ」
ニカは愛想良くしすぎて疲れたのか、いつものクールなニカに戻っていた。
「ニカ、お前はホントに猫なんだな」
「は?」
「めっちゃ猫かぶっとった(笑」
「あぁ、そういうことね(笑。しょうがないじゃない、任務だもん。さ、行こ?」
俺たちはホールに入ってきた扉の向かい側にあたる、大きな扉の方へ向かった。
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