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□07-ある夜の事件
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第7章 ある夜の事件
私が仕えていた一族は、『セイレネス』といって、歌を歌い、踊って、さまざまな人々を癒していました。
その中でも、お嬢様は毎回締めを飾るほどの綺麗な歌声の持ち主だったのです。
ですから、お嬢様は皆様から”歌姫”と呼ばれていました。
毎日楽しそうに歌を歌い、人々に安らぎを与えていたのです。
しかし、1年前のある夜、その事件は起こりました。
その事件は、セイレネスをライバル視していた同業者の一族『ルチフェル』が起こしたものでした。
*
古野さんはポケットから一枚の写真を取り出した。
「…これは?」
「これがセイレネスの屋敷です。ここからは、結構遠いですが…」
そこに写っていたのは、大きくて綺麗な屋敷だった。
「うわ…でかっ!城みたいじゃん」
バシッ!!
俺はニカに叩かれた。
「な、なんだよ…」
「言葉を慎みなさいょ」
「あ…すぃません…」
古野さんは、いいですよっとニッコリ笑って許してくれた。
そして、話の続きをし始めた。
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