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□02-オフ
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第2章 オフ



この建物は、結構昔からあったらしい

俺がここに来るずっと前から

この建物で暮らし、そして死んでいった人がたくさんいる

俺らもきっと同じ道を歩むだろう

この建物ーHomeーは、その名の通り、俺らの家であり、仕事場でもある

そして、ここで働く人たちは『家族』のようなもの

だから、仕事から帰ると必ず見にいく場所がある

裏庭の隅にある石碑
        . .
そこには、Homeにいた人の名前が彫られている

その石碑の後ろにはたくさんの十字架が地面に刺さっている

それは日に日に増えていくもので

俺はそれを見て、また家族が減ったのを確認する


ガチャ…―

俺はイオと別れて部屋に戻った。

シンプルな部屋がいつも俺を迎えてくれる。

「はぁ…久しぶり」

俺は、自分の部屋を見回してつぶやいてみた。

数ヶ月間、暮らしていなかった部屋は少しホコリっぽくて霞んで見えた。

俺は、コーヒーを入れて、懐かしいソファーに寝ころんだ。

この時間が一番安らげて、一番好きな時間。

そんな感じで、俺がリラックスしていると

コンコンッ!とノックの音。

だいたい誰が来たか分かる。

「どうぞ。勝手に入って」

俺は、ドアの向こうの奴に向かって言った。

「おじゃましまーす…」

そう言って、部屋に入ってきたのはニカ。

しっかり者でちょっとクールな女の子。

「久しぶり!死んだのかと思った」

そう言って俺の前に現れた。

「勝手に殺すなよ…」

ニカは、クスッと笑って俺のベッドに腰を下ろした。

「長期任務、どうだった?」

ニカは、興味津々で俺に聞いてきた。

「ん?…結構長かった。あの組織を潰すの、すんごい大変」

俺は、長期任務がそんなに好きじゃない。

やっぱり一番落ち着くのは、Home。

だから、Homeに早く帰りたくてしかたがなかった。

いわゆるホームシックってやつ?(笑)

「あんたがいない間にいろんな事があったよ」

ニカの表情が曇る。

「死者が増えたな」

俺は、すかさず答えた。

「うん、でもそれより心配なのが…」

「え…他になんかあった?」

「シュウがまだ帰って来ないの」

「シュウが?なんか珍しいな…」

シュウは、俺とニカの最も仲のいい同業者で、よく3人で任務のない日は出かけたりして遊ぶ。

シュウは、情報収集を専門としていて、任務は長くても2週間くらいで終わる。

それなのに今回シュウは、俺が任務に出かける前から長期任務でいない。

何か嫌な予感がした。



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