Painless

□04-内容の濃い1日
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「…くっ……」


刀を支える手が、プルプル震えてる。

でも、それは恐れなんかじゃない。

そいつの刀に込める力は、小柄な外見からは予想もできない程、強く重たかった…。

俺は少しビックリして、そいつを見た。


「そんな急に襲いかかってくんなよ…」


その時、


フュォ…


強い風が吹いて、深く被っているフードから、少しだけ綺麗な栗色の髪が見えた。

フワッ…と髪はなびき、俺は何故かそれから目が離せなかった。

そいつもそいつで、刀を握る手が震えている。

俺が刀を受け止めたことに少しビックリしたのだろうか、小さな舌打ちが聞こえた。

しかし、そいつはさらに刀に力を込めてくる。

俺らは刀を交えたまま…。

その時には、外に出ている人はほとんどいなかった。

そして、次の瞬間―…



ドォォォンッ!!!!



「「!?」」

突然の大きな爆発音。

地面が小刻みに震えているのが分かる。

「なっ…なんだ…?」

俺は爆発音がした方に目を移した。

目はそらしても、交えている刀はそのままで。

俺は、いつ襲いかかって来てもすぐ対処できるように、そいつに気を配っていた。

「…?」

しかし、それは必要なかったようで、襲いかかって来ることもなく、逆に自分の刀を閉まってしまった。


それも、いつの間にか袖から刀が無くなっている…なんで?


俺は鞘を拾い、愛刀を収めながらそいつを見つめた。

相変わらず、顔が見えないので男か女かさえも分からない。

しかし、そいつは爆発音のした方を見つめている。

俺も気になって、そっちを見つめた。

建物から炎と煙が立ち上っている。

「…やっぱり…やられたか…」

俺は、ぼそっと呟いた。

そう、そこはさっきキリヒトたちがいた小麦粉専門店。


…あそこは場所が悪かったな


俺はそんなことを考えながら、燃え上がる炎を見つめていた。

隣りを見ると、そいつもまだそっちを見つめている。

そして、燃え盛る店からキリヒトたちが出てきた。

そして、こちらを見ている。


…や、やばい?!


俺は、少しだけ戦闘態勢をとった。

すると、キリヒトがこちらに向かって叫んだ。

「ネロッ!!何をしているんだ!用は済んだ、帰るぞっ」

キリヒトの命令的な声。

そして、それに反応したのは…俺の隣りにいた、そいつだった。

何も言わず、キリヒトの方に走って行く。


そして、キリヒトたちはこの町を堂々と出て行った。

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