短編

□初恋
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「いねぇか…」

声にだしたつもりはなかっただろう。

窓の外を見ていたXANXUSはぽつりとそう…一言だけ呟いた。

「ゔお゙ぉいっ!!ボスっ、何がいねぇんだぁっ!!??」

「…何でもねぇ」

「?」

珍しく、カスと言われなかったことが気にかかる。

しかし、これ以上言ったら、何が飛んでくるかわからない。

スクアーロはそれ以上何も言わず、持ってきていた報告書をデスクの上におくと、そのままXANXUSを眺めていた。

「…何だ」


流石はヴァリアーのボスともなる男だ。その気配に気づき、鋭い瞳でスクアーロを睨んだ。


「最近、変だぜぇ?」

「…何が言いてぇ」

「だってよぉ…俺が来る度に窓の外見てるしよぉ…」

「…」


自分でも意識しているつもりはない。

それがXANXUSの心の思いだろう。
けれどそれを部下に言うほど彼の心は柔らかくはなかった。

「カスが…失せろ」

「…」


それ以上、何を言っても無駄だろう。そう察したスクアーロは部屋からでていった。


「(…)」

自分でも、自身がおかしい事くらい気付いていた。

けれど、この感情が何んなのか…それがどうしてもわからない…。

「(俺は…)」


意識せずとも、また、目は窓の外。


そうしているうち…
探しているものを…見つけた。


歳はそんなに離れていない。

名も知らぬ…

女…。


XANXUSの目はその女から離れることなく、追った。


彼女が窓の枠から消えたあともなお、彼の瞳には映っていた。

「…」


その気持ちはわからない。



超直感があっても無駄なのだ。これ以上考えることはせず、部屋をでた。



「ゔお゙ぉいっ!!」

「スク、うっさいっ!」

「生意気な事言ってんじゃねぇぞぉっ!! 」


そう言うスクアーロの頬は赤く、話している彼女もまた幸せそうだった。



「ベールリンっ」

「何?」

「超、すきぃっ!」

「何、言っちゃってんのー??王子のほうがお前のことすきだからー」


そこにあるのはお互いだけの…空間。


「ボスさんも好きな奴ぐらいいるだろぉ?」

いつかスクアーロがそんなことを言った。

「(ぐだらねぇ)」

その空間。

その記憶。


そして、窓の外のあの女。


すべてが繋り、リンクする。





「はっ」


また、一人呟いた。


始まりもわからないその恋を…


「俺が女に惚れるなんてな」




話したこともない女との恋を…



初恋を…


成就させるため…

「カス、少し、付き合え」


なんでもできるような…

そんな気がした…。







────
ボス乙女(´・ω・`)
.
 

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