短編
□来年の今日も・・・
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今日は10月31日。
世にいうハロウィンの日。
『ねぇ、スクアーロ?』
「あぁ?なんだぁ?」
『トリック・オア・トリートぉぉっ!!』
手をさしだした、あたしにスクアーロは不思議そうな顔をする。
「・・・」
『だーかーらー、トリック・オア・トリートだよっ!!』
「なんだぁ?そりゃぁ?」
『・・・知らないの・・・?』
「?」
『えー・・・萎えぇっ・・・!!』
「・・?どーゆー意味だぁ?」
『・・・・・・・ハロウィンだよ』
「ハロウィン・・・だぁ?」
そういっても、わからないという顔をしたスクアーロにあたしは少し違ったハロウィンを言ってみる・・・。
『ハロウィンはね?男の子が女の子にプレゼントをあげる日なんだよ。』
「・・・」
『だから・・、プレゼント・・・ちょーだい?』
「・・・う゛お゛ぉい・・・・そんなこと言わても、なんも用意してねぇぞぉ・・・(汗」
『その指輪わぁ?』
「これだけは駄目だぁ」
『じゃぁ、その隊服わぁ?』
「馬鹿言うんじゃねぇ・・・」
『ぶー・・・』
膨れてるあたしの頭に優しい手がおちた。
「悪かったなぁ」
『・・・別にいいよ、知らなかったならさ・・・』
「・・・」
困ってるスクアーロがまたかわいくて・・・
『来年はちょーだいね?』
そんなことをつぶやいた。
それはまた、常に死と隣合わせにしている彼への、死なないで・・・という儚い願い・・・・
また、来年も一緒にいられることを願って・・・
「あぁ」
そんなあたしの気持ちを読み取ったかのように、彼は悲しい目であたしに微笑みかけた。
『スク・・・』
ちゅっ
ふと唇にあたるスクアーロの唇。
あったかい温度が伝わってきて、また、好きになる。
「今年はこれで勘弁しろぉ」
にやりと笑ってあたしの頭をわしわしと撫でてくる。
『・・・しょーがないなぁ』
嬉しいけど、欲張って・・・
『もっかいしてくれたら許す』
「・・・・しょーがねぇなぁ」
二度めのキスをもらって・・・
『来年も一緒にいようね?』
彼との時間が幸せだから・・・
「なに、当たり前のこと言ってんだぁ?」
『そっか・・・』
笑って過ごしているいまが
大切だから・・・
END