長編小説
□『こんなに好きと言わせたくせに…』
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簡単な住所は聞いていた為、それを運転手に告げる。
遠回りになるが、もう少しこのまま寝かせてあげたいとそう思った。
そして肩で安心して寝ている瑶子を、もう少し見ていたいという気持ちもあった。
だがこのまま家まで送るにはまだ早いと思い、途中でタクシーを止めてもらい、瑶子を起こして札を渡してから下りたのだった。
次の日。いつものようにコーヒーを淹れて飲んでいるとメールが届き、見ると瑶子からだった。 昨日の事を謝りお礼がしたいからと、今度一緒に食事に行きたいと書かれてある。
俺は昨夜の心地よさを思い出し、一緒に時間を過ごすのも悪くない。
いやもう少し瑶子の事を知りたいと思い、OKの返信をしてから着替え始めたのだった。
メールを返信してから三日後に瑶子から電話があり、今夜の予定を聞かれ何も入ってない事を伝える。
すると食事に誘われ、以前二人で行ったレストランで待ち合わせをする事になったのだった。
当日、仕事が終わると宏伸が機嫌よく
「久しぶりに飲みに行かないか? 」
と誘ってきたが、用事があるからと断るとすぐにわかったのか
「瑶子と会うんだろ」
そう聞かれ、隠す事でもないだろうと頷く。すると
「やっぱり。お前に合う気がしたよ。実は俺も」
と聞いて、すぐにピンときたのだった。
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