長編小説

□『こんなに好きと言わせたくせに…』
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 瑶子は俯きながら


「雅人の事、好きになり過ぎて何だか、怖いの自分が自分でなくなりそうで… …。それに私」


 俺は瑶子の訳がわからないその話に、黙って耳を傾けていた。
 一体、何を話したいのかを知りたくて。


「雅人の話はとても嬉しかったけど、だけど私より似合う人がいると思う」


 そう最後まで話を聞いて愕然とした。
 やっと二週間振りに連絡が取れて会えたと思った矢先に、別れ話を切り出されるなんて俺でなくても驚くだろう。


 俺より二歳下の二六歳の瑶子とは、同僚の宏伸と週末に行っていたBar
“Afternoon”で知り合った。
 今から半年前の寒い十二月に、俺達は久しぶりにBarへ行きいつものようにカウンターにいた。


 お互いカクテルを注文し静かに流れるジャズを聞きながら、近況を話したり仕事の話をするのを楽しみに来ていた。
 店内は薄暗く、カウンターの他にボックス席も三席あり、Berというよりカフェのような作りで、女性も入りやすいせいか、その日はいつもより女性の姿が目立っていた。


 その中に初めて見る女性二人が、俺達の側に来て


「よかったら、一緒に話しませんか」


 と話し掛けられ、俺は思わず宏伸と目を合わたのだった。



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