時代物系 小説

□『永遠ノ森神社』
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その昔、結婚が決まった女性は式を挙げる前に、必ずする事があった。



それは、先祖代々続いている事で、河崎村の女性にとってあたり前の事で、そして自然な事になっていた。



河崎村の東側の奥には“永遠ノ森神社”があり、結婚が決まった女性は、自分の醜い気持ちや思い、恨み、妬み等を祠の前で念じて、全て吐き出してから式を挙げる。



すると、不思議な事に夫婦関係は上手くいき、末長く幸せに暮らす事ができる。



その神社に祀られている神様は、女性の気持ちや思いを全て受け入れる事で知られていて、その評判を聞いた他の村の人も、こぞって来るほどだった。



だが、いくら神様でも負の気持ちや思いを聞いていると、その女性達の念が祠内に溜まるようになり、万が一を考えてお参りをする期間以外は開けられなくなった。



お参りができる期間は、一年に一度と決められ、一月から三月までの二ヶ月のみになる。神社が開いている時はお参りできるが、閉まると同時に、祠も固く閉じられる。



そのため、一月から三月の間はお参りに来る女性達が後を絶たず、順番を守るようにと整理券を配布するようにもなったのである。



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