ファンタジー系 小説
□『 Album 』
3ページ/10ページ
その途端、胸がぎゅうと締め付けられるような思いと、顔が熱くなったのを感じて、もしかしたら高校生に戻っているんじゃないか、そう思った。
そうでなければ、先生だって気づくはずだ。妙齢な女性が、セーラー服を着て学校にいたら、おかしいと思うだろう。
とりあえずここは、先生に合わせてと思いながら
「二枚、ちゃんと入っていますよ」
と返事をする。と同時に先生からレコードを貸し借りしていた事を思い出した。確か好きなアーティストが似ていて、話も合い、放課後になると、こうして人がいなくなった教室の前で、紙袋を渡していた事を。
きっかけは、定期を忘れて学校に戻った日。バス停まで歩いて二十分かけて行ったのに、定期がない事に気づき、一緒に探すという友達には悪いからと断り、急ぎ足で学校へ向かった。
教室で定期を探している私に、教科書を取りに来た副担が
「忘れ物か?」
と声をかけらたのが、全ての始まりだったと、思い出した。
.