ファンタジー系 小説

□「待ち続けること」
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 アンドロイド等のメンテナンスは、誰でも学校で教えられ技術を所得する。
 その為、アンドロイド等のメンテナンスは誰にでも可能だった。


 彼はアリスをリビングの椅子に座らせると造られた髪を捲り、頭の中にある制御装置を取り出した。
 その間、アリスの機能は止まる事になるが制御装置を入れるとまた作動を続ける。
 制御装置のプログラムを変えて学習が出来るようになったアリスは、彼から様々な事を学ぶようになった。


 どうして人間は泣くのか、どんな時に笑うのか、どんな事で怒るのかを彼は時間が許す限りアリスに教えた。
 それはまるで人間とはこういう生き物だと、自分はこんな感情を持っているんだと理解させる為のようだった。


 彼からいろいろな事を学ぶようになったアリスは以前とは違い、少しずつ人間に近くなっていた。
 その為、今までの会話にアリスの考え方が入り独自の持論まで話し出すようになった。
 それは彼にとって喜ばしい事だったが相手がアンドロイドの為、あまりに話が難しくなり時々困る事もある。


 それでも彼は学習したアリスに満足し、戦争に行くまでに出来る限りの事を教えたのだった。


  *  *  *



 私は人間に造られたアンドロイドで、主人の言う事を何でも聞くようにプログラムされていた。
 だから今まではそれをおかしいと思った事も、考えた事も一度もなかった。


 だけどその考えが崩れたのは主人が私のプログラムを変えて、学習が出来るようにした後の事だった。
 主人の話を聞きまた、疑問に思った事を質問していくうちに言葉や文章に出来ない気持ちが出てきたのだった。


 それをすぐに聞きたかったがどうやって質問していいのか適切な言葉が見つからず、結局はわからないまま主人は戦争に駆り出されてしまった。
 だが救いは、唯一連絡が取れる昔でいう携帯電話に似ている物を取り寄せてくれた事だった。


 これがあると小さいモニターで相手の映した物を見る事が出来てまた、話す事も可能だった。
 だから主人が今どこにいて何をしているのかがわかり、人間でいう心配をする必要もない。
 だが時々、見たくない物まで見る事になるがその感情に気づいたのは最近の事であった。



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