短編小説

□『いつも側に』
1ページ/4ページ

たまたま呑みに行った居酒屋で、偶然、同席した女性三人のグループ。最初はお互い話もせず、それぞれ呑んでいたけど、そのうち六人で話すようになって、話は盛り上がり、気づくと三時間が過ぎていた。


その事がきっかけで、彼女と付き合うようになりいつしか三年が過ぎて、そろそろ身を固めるかとプロポーズしたのは、一年前の粉雪が降る夜の事だった。


彼女は三人の中でも、ひときわ可愛いくて明るく、そして笑顔がよく似合う、俺好みの人だった。話題は尽きる事なく、いくら会っても時間が足りなくて、何度帰る彼女を引き止めたか知れない。

俺は彼女しか見えなくなり、夢中になった。時間が許す限り会って、財布にゆとりがある限り、プレゼントを送った。絶対、彼女を他の男に捕られたくない、譲りたくない、そういう思いが強くなり、俺だけのものにしたいと決めた時、プロポーズをした。


彼女は最初、驚いていたけど、それからすぐに快く受けてくれた。つまり、妻になる事を決めてくれたのだ。


その日の事は、二年過ぎた今でも鮮明に覚えている。寒がりの彼女が車内で、手を口元に持っていき暖めながら、真剣に話を聞いていた事も、喉から心臓が出るくらい緊張しながら話した事も全て。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ