お題小説
□「最後のわがままを言わせて」他。
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最近は、お題からSSを書く事が多くなりました。
忙しいというのもありますが、ネタが思いつかないというのもあるかも(汗)
という訳で最後のわがままを言わせてというお題で書いてみました!
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高校三年になると就職する子と進学する子に別れるけれど、私は進学を選んだ。
その為に塾にも通い、家でも勉強して希望する大学へ行けるように努力していた。
というのも小さい時から絵本が大好きで何回も空想の世界で遊んで、お気に入りの絵本は表紙がボロボロになるまで読んでいた記憶がある。
ある時は押し入れの中を冒険したり、またある時は嵐の中を航海して島に辿り着いたりもした。
小さい私にとって絵本は夢を見せてくれて、いろいろな体験が出来る無くてはならない大切な物だった。
そして成長していくうちに読むだけでなく自分で作るようになり、それがとても楽しくて仕方なくなっていた。
今まで行った事がない架空の国を作り上げ、その中に自分がしてみたい事を書いていく。
又は動物だけの国や宇宙船の話を書いて、それらに絵を描く。
この楽しみが出来てからはどんな天気の日でも、留守番をしといても面白くて仕方なかった。
それはいつしか夢になって、たくさんの子供が読んでくれるような絵本を作りたいと変わっていったのだった。
その為に絵を描いたり物語を作るようになり、そして我流ではなく専門的に学びたいと考えるようになっていたのである。
夢を叶える為に選んだ大学は遠かった為、家から出て寮に入らなければならない。
だけど、してみたい事が学べるならと前向きに考えるようになった。
親や友達と別れるのはもちろん辛いけれど、それだって全然会えなくなる訳ではない。
だけど一つだけ、気がかりな事があった。
今思えばどうしてあんな事が出来たのか、不思議で仕方がない。
決して積極的な方ではなく授業中は当てられないようにと俯いていたし、仲のいい友達と一緒にいてもどちらかというと口数が少ない方だった。
だからといって意志が弱い訳ではなくてどうしても譲れない時は、柔らかく断ったり頭を左右に振ったりしていた。
だけどそんな私でも決断力だけはずば抜けてあって、今回の事も即決したのだった。
三年になってからクラス替えがあり、一年の時に仲良くなった友達と同じクラスになってから、私達は学校が終わると時間を作ってお互いの家に行っていた。
どちらも進路を希望していて受験する大学も決まっていた為、ゆとりがあったからだと思う。
その日は七月の半ば辺りで、日差しが強い土曜日だった。
友達を家に呼んで勉強をするという理由で会っていたけど、蓋を開いて見れば何の事はない。
他愛のない話と誰が誰と付き合っているという話ばかりに花を咲かせて、勉強は全くといっていい程していなかった。
ただでさえ暑いのに勉強なんて出来る訳がなく、二泊する友達はいつも涼しくなった夜に重たい腰を上げる。
そうなると、他の友達も呼ぼうという事になった。
「ねぇねぇ、どっちにする? 男子と女子」
そう聞かれてピンときた。今年になってから彼氏が出来たのを知っていた私は、その彼氏を呼びたいとすぐに気づいた。 だけどそうなると彼氏がいない私は、時間を持て余してしまう可能性がある。
「じゃあ、お昼を一緒に食べているあの子にも連絡してみる」
そう聞いて、胸を撫で下ろしたのだった。
その三十分後、友達の彼氏と友達が来て話をするのもゲームもするのも楽しくなった。
勉強をする為に呼んだにもかかわらず、私達は最初の十五分だけ教科書を読むと後は遊んで時間を過ごした。
その日は暑かった為、アイスが食べたくなった私達は近くのコンビニに買い出しに行く事にした。
その時はちょうどゲームをしていて、手が空いていたのは私と友達の彼氏。
「アイスの他に、何か飲み物やお菓子も買ってくるよ。だから一緒に行かない? 」
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