お題小説
□「夜空の下の散歩」&「それでも全てが愛しくて」
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小説「夜空の下の散歩」
「あ、今さ時間ある? 」
と携帯に電話してきたのは、高校一年の時から付き合っている彼氏からだった。
美術部に入部してから一年は私達しかいなかった為、自然と話すようになったのがきっかけになる。
家が近い事もあり部活で帰りが遅くなると、大抵は彼が一緒に帰ろうと声をかけてくれた。
私も一人で帰りたくない為、一緒に帰りいろいろ話しているうちに少しずつ彼に惹かれていったのだった。
「今? ってもう七時だよ? どうしたの? 」
そうベッドに横になりながら聞くと、暑くて仕方ないから散歩したいと言う。
確かに今日は昨日よりも暑く、雨が降るのか湿気もあった。
じんわりと汗は出るけどだからといって、冷房を付けるにはまだ早い。
だから、夜に散歩をするのも悪くないと思えた。
それに明日は日曜で休みだし、この時間に近くのコンビニに行くと言っても怒られる事はまずない。
「うん、いいよ。 というか、もう近くまで来てるの? じゃ今から行くから」
そう言ってから携帯を閉じると、部屋着から着替えて髪を整えてから色付きのリップを塗る。
本当はもう少し気を使いたいけど、そんな時間はないので諦めると部屋のドアを勢いよく開けて一階へ降りた。
「ちょっとコンビニに行って来るから」
と居間のドアを開けてテレビを見ている母親に言うと、靴を履くのももどかしく家から飛び出したのだった。
「もう、来てるならそう言ってくれたらよかったのに」
走って小学校の近くにいる彼氏の前に着くと、肩で息をしながらそう話した。
すると彼はぶっきらぼうに
「だって今、思いついたんだから仕方ないだろ」
そう言うと、コンビニの袋から缶コーヒーを取り出して差し出す。
それを受け取ると、思いついきはいつもの事だと諦めて
「ありがと。それじや近くの公園にでも行く? 」
と聞くと彼は頷頷き、私達は小学校の前から
右側にある公園の方へ歩き始めたのだった。
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