ファンタジー系 小説

□『ココニキテ』
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 高校入学と同時に、中学の時からずっと欲しいと話していた携帯をやっと持つ事が出来た。
 友達は早い子で小学の高学年から持っていて、メールをしているのを見ていた私は、羨ましくて仕方なかった。


 だけど高校になってから持って、メールもサイトを見るのも自由に使える今に不満はない。
 本音を言えばもっと早くに持ちたかったけど、自分で払えない以上は強く言えない。
 携帯を持ったら作ろうと思っていたサイトも運営できて、友達とのメールは楽しくて便利だし、両親との連絡も楽になった。


 私は幼稚園くらいの頃から絵本を読むのが好きで、小学生の中学年から小説を書くようになっていた。
 頭の中に描いた世界を文章にする事、それにイラストを描く事が楽しくて友達に読んでもらっては感想を聞いて満足していた。
 だけどそれはいつしかいろいろな人に読んでもらいたい、感想が知りたいに変わって携帯を持ちたい、又はパソコンが欲しいになるのに時間はかからなかった。


 そんな思いがあったから携帯を持てるようになった今では、無い生活は考えられない。
 朝おきて最初にする事は、掲示板のチェックにアクセス解析を見る事。 そしてメールのチェックをして、学校に行く支度が終わってから返信を書いていく。


 最近はようやく掲示板に来てくれるお客さんが少しずつ増えてきて、返信を書いていくのも楽しくて仕方なかった。
 小説を読んでくれた感想はもちろん、その他に様々な話をして交流するのも嬉しい。


「真由子、読んだよー! 続きが読みたくて仕方なかったんだー 」


 そう話してきたのは、同じ一年ニ組になった中学からの友達、理佐だった。
 学校が近い理佐は私より五分早く着いていて、朝のHRが始まる前にいろいろなサイトやブログを見ている。


「もう読んだの? 書くのって時間かかるけど、読むのはあっという間だね」


 そう返事をしながら感想を聞くのも楽しくて、HRまでの時間は、すぐ過ぎていく。
 理佐と話しながら、朝に見たサイトの掲示板に書かれてあった返信を思い出していた。
 サイトを持った半年前に一番最初に訪問してくれて、書き込みをしてくれた“祐一”という人の書き込みを。



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