ファンタジー系 小説

□『 二三時 』
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「この道路って、決まって二三時になると、必ず何かが起きるって言われているんだって」


そう佐々木信幸に得意気に話しているのは、菊川麻美だった。二人は仕事が終わると、マンションで一人暮らしをしている麻美の部屋で会うのが、空気を吸うように当たり前で自然な事になっていた。


温泉番組を見ながら、麻美はテーブルの上にある缶ビールに手を伸ばす。そして一気に半分飲んでから、信幸の隣に寄りかかり指を差しながら


「あっ、ここ。私の友達も近いからって行ったんだけど、その子霊感が強くて気持ち悪くて通れなかったって言ってた 」

そう言い、くいいるように画面を見ている。その話を黙って聞いていた信幸は、二本目の缶ビールを飲みながら


「何か起きるっていっても、そんなのただの言い伝えみたいなもんだろ。でも、面白そうだよな」

と言い、まるでその場所を覚えるかのように、画面を見ている。そして隣にいる麻美の肩を抱くとこう話した。


「うーん、ここから近いし試しに行ってみるか」



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