短編小説

□『不安な気持ち』
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次にした事は、下着を見に行き、いわゆる“勝負下着”を買う事だった。元々、下着を見るのは好きだけど、今回は目的が違うだけに、下着を見る目も真剣そのものだった。


まるで、絵画を鑑定するかのように、眉間にしわを寄せて、下着を手に取って見ていると、いつも声を掛けてくる店員は、何やら不安そうな表情で一歩引き、後ろから私の様子をうかがっているのがわかる。


それでも私は、店員の目を気にする事なく、黙々と下着を手に取っては置いて、かなりの時間悩みながら選び、そして二つの色違いのセットを購入した。


次に服を買いに、いつも行っているブティックへ行き、ここでも殺気立つくらいの雰囲気を出していたのか、店員はただ黙って後ろを歩いて来るだけだった。


いつも選んでいるデザインは止めて、ここは大人な服をと思い、スリットがかなり入っているタイトスカートを見ては、ニヤリとし、胸元が大きく開いているブラウスを見てはほくそ笑んでいると、さすがに店員も近寄れないようだったが、三十分もすると声を掛けられ、相談しながら、スカートとブラウスを購入した。


そして、彼と会わなくなってから三日後には、仕事が終わってから美容室へ行き、今までとは違う髪型に挑戦する事にした。カタログを見ながら自分に合うようにアレンジしてもらい、セットもしやすいように希望を伝える。
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