短編小説
□『不安な気持ち』
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彼と付き合って半年が経った頃、私達の間に今までにない空気が漂っていた。別に喧嘩をした訳でもないのに、一緒にいても会話が少なく、いちゃつく事もなく、楽しくない。
私は変わらないのに、彼の様子がいつもと違うように見える。突き放された訳じゃないけど、どこか冷たかった。
この事を親友に話してみると、考えられるのは、浮気、又は気持ちが離れたかもしれない、そう話す。その話を聞いてかなりショックを受けた。
自分が年上だと、一番の心配はもちろん浮気だった。彼が年相応の人や年下の人に目がいくのも当然で、自然な事だと思う。だけど、様子からしてそれはないように思えた。
だとすると、残っているのは、気持ちが離れた……と考えた時、どうしようもなく胸が切なくなった。
だけどそこで諦めないで、何かしてみよう、そう考え直す。例え気持ちが離れていても、黙って泣いているよりずっといい。
そう思い、まず初めにしたのは、おそらく読まないだろうと思っていた、恋愛に関する事を綴ったエッセイの本を購入した事。こういう本だったらきっと、恋愛のいろいろな事が書いてあるだろう、そう思ったからだった。