短編小説

□『いつも側に』
2ページ/4ページ

だけど、不幸は突然に訪れた。
「……別れてほしいの。」
その言葉を聞いて、どれほど驚いたか。


いくら理由を聞いても、別れての一点張りで、離婚届を差し出す。俺は何度も差し出されたそれを破り捨てた。


お前の側に、ずっと一緒にいたい。お前のためだったら何だって出来るし、何でもしてやりたい。

そう思っているのに、別れたいなんて、どうしてそんな事が言えるんだ。さっぱりわからなかった。俺に落ち度なんてないのに。


離婚届を書かない俺に諦めたのか、半年前、彼女は離婚届を置いて家から出て行った。心配で他の男と一緒にいるんじゃないかと思い、探したが両親がすでにいなく、彼女の友達に全く興味がなかった俺に、探す手だては少なかった。


苛々しながら、粉雪が降る夜に、諦めきれなくて、二人でよく行った場所を訪ねた。だが、それでも彼女の姿を見つける事は出来ない。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ