短編小説

□『 Photo 』
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ただ、俺と離れたくなくて、それで元気がないのか。紗希は淋しがりやだから、一緒にいたくても遅くまで遊べないから、だから元気がないのか、そう思った。
「そんな顔、するなよ。明日、会えるだろ?」
と言うと、やっと笑顔になって、両手を振り、背中を向けてゆっくりと家の方へ歩いて行った。



  *  *  *

和典は明日、校門で待ってろと言った。その言葉は、とても嬉しくて仕方なかった。ハスキーな声、大好きな笑顔、そして『―――お互い、20歳過ぎても付き合っていたら、一緒になろうな。』
と、前日に照れながら話した、初めてのプロポーズ。


和典と付き合うまでは、男子と付き合った事がなかった。好きな男子もいたかったし、彼がいなくても平気だった。


だけど今は、それでよかったと思っている。初めて付き合った人が、和典で幸せだった。だからプロポーズに
『……よろしくお願いします。』
と、すぐに応えた。


だけど翌日、和典は校門にはいなかった。約束したのに、一緒に食事をしてプレゼントの交換をする日だったのに。
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