短編小説

□『クリスマス・イヴ』
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雲ひとつない夜に、大きな満月を見ながら、まるで地球最後の日のような最悪な気持ちで、家へと歩く。片手には、ビールが三本入った袋を持って。


“藤崎”と書かれた表札の前に着く頃には、ビールは二本になり、食事を終えてお風呂から出ると、三本目のビールを開けていた。


「どうしたの佳奈、そんなに飲んで」
肩にバスタオルをかけて冷蔵庫からビールを取り出した時にそう聞かれ、台所にいる母に
「何でもない」
と返事をすると、足早に階段を上がる。


部屋に入ると、今まで我慢していた気持ちが一気に緩んだと同時に、まるで天気雨のように涙がスッと流れた。


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