企画
□結婚します?
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冥府では、イライラしている篁の姿があった。それはもう誰も近づきたくない程。
珍しく剥き出しの霊力がビリビリと部屋を揺らす。甚大な霊力をその身に宿す篁は、他の官吏(の心臓)に悪い。
「篁、少しは落ち着いたらどうだい?」
「落ち着いてられるか!安倍の馬鹿共と一緒にいるんだぞ?!」
「まあまあ。ほら、水鏡で様子を見ていなさい。危なくなったら助けに行けばいいしね」
「………あぁ」
こちらも渋々といったように頷いた。
ふとした表情や、ふとした行動がよく似ている二人。それだけ、一緒にいる時間が長い。
「………燎琉、まだ定まらないのか?」
「まだ、だね。本当に、長い」
空を見上げるように上を見上げた燎琉は、苦しそうに告げる。
篁も、苦しそうで、じれったそうだった。
「聖………」
なによりも大切に想っている彼女を、今すぐ抱きしめたい。ここにいるのを確かめたい。
ぐっと拳を握り、思いとどまる。今はまだ、その時ではないから。
水鏡に人界を映し出し、少し離れて歩く聖の姿を見てホッとする。怪我してなくて良かった。
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