企画

□美少女には気をつけて?!
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カラリと晴れた夏のある日。
聖は珍しく1人で街中を歩いていた。
というのも、篁は冥府で燎琉の終わっていない書類を終わらせる為に数日前から缶詰めで、家に帰って来ていない。それを友達の章樹に愚痴ったところ、午前中から遊び倒そうということになった。
その為、今待ち合わせ場所に向かっている最中なのだ。


「章樹と遊ぶのって久しぶり。どこ行くのかな?わざわざ駅前に待ち合わせってことは、ショッピング?」


午前中から遊ぶということで、聖は一応ローヒールではあるが、長時間の移動はキツイだろう。余談だが篁と並ぶ時は、彼の身長に合わせてできるだけ高いものを履く。並んだ時バランスがいいようにと、彼の顔が見やすいように。



10時5分前に聖は、待ち合わせ場所の時計台の下に着いた。章樹がいないことを見ると、バッグから携帯を取り出してメールを確認する。
特に何も連絡はないため、時間通りにくるだろう、多分。
一応メールで着いたことを送れば、すぐに返事が返ってくる。もうすぐ着くそうだ。



「良かった。章樹の家って大きいから時間通りに出れないかもって思ってたし。今日は楽しまなくちゃ」


ホッとした様子で、知らず知らずのうちに入っていた肩の力を抜く。久しぶりの篁以外との外出に、思いの外緊張していたようだ。相手は親友と言っても過言ではない章樹だが、その章樹とも数えられる程しか出掛けた覚えはない。
そうこうしているうちに、パタパタと駆けてくる章樹の姿が見えた。


「章樹ー!」

「ごめん!待たせちゃった」

「大丈夫だよ。ほとんど待ってないしね」


軽く息を乱して、章樹は顔の前で掌を合わせた。
そんな章樹に聖は小さく微笑むと、合わせられた手を取り軽く繋いだ。



「今日は遊ぶんでしょ?謝るのはもうなし。ね?」

「〜〜もう!聖、大好き!!」

「うん!私も、章樹大好きだよ!」


可愛らしい少女二人のやり取りに、偶然通りがかった大人たちは微笑ましい気持ちで二人を見た。自分たちもこんな時代があったなぁ、とか、青春してるなぁ、とか色々思いつつ、そこを通り過ぎて行く。
そんな周りの視線は露知らず、聖と章樹の二人は仲良く手を繋いで駅の中へ入って行った。








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