novel

□結婚宣誓
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高校を卒業して約一年。大学にも慣れ、毎日充実した日々を送っている聖を、両親と兄二人が訪ねてきた。



「篁くんはいるかな?」

「う、うん。いるけど……」

「案内してくれる?聖」



ニッコリと、でも後ろに黒いものを漂わせる両親に聖はたじろぐ。



「ハ、ハイ……」


黒い人には逆らうべからずとばかりに聖は頷き、ギクシャクとした動きで篁がいるであろうリビングへと案内した。









彼らを篁の元へ案内して早一時間。聖はこの場にいたくなくなっていた。────あまりにも黒過ぎて。兄二人がストッパーになってくれるかと思いきや、反対に加速させていく。



「最近随分おとなしいかと思えば、要らないことを」

「本当だよ。女の子と知るや否やつなぎ止めるために色々と小細工するなんて」

「終いには、ウチと関わりが深いところの息子と見合いまで」

「本当有り得ないですよね」

「聖の意思は何処にもないしな」

「図々しい奴らだ。聖はとっくの昔に俺がもらったというのに」

「どうしようもない人で済まない」



グイッと冷めたお茶を一気飲み。どうやら愚痴ってスッキリしたようだ。
黒い会話に混じりたくなかった聖は、一人もそもそとお菓子を頬張っていた。



「……この際だから言おう。聖を娶りたい」

「!!」

「ッゴボッ」



篁の言葉に目を見開く吉治と咲樹に、ちょうどお茶を飲んでいた幸親は咽せる。お菓子を頬張っていた聖も。

豪快に咽せた聖の背中をさすりながら、篁はお茶を渡す。娶る発言をしたとは思えない程自然だ。



「ゴホッ、ゴホッ、ちょっ、篁?!」

「なんだ?文句でもあるのか?」

「ないけど!!もうちょっと時と場合を考えようよ!」

「今言わないでどうする」

「今じゃなくてもいいってー!!」



最早痴話喧嘩だ。というか、いつ兄さん″は取れたのやら。
微笑ましく二人の応酬を見ていた成一は、内心首を傾げた。だが、それは些細な問題なので放っておく。


目を見開いていた吉治と咲樹は考える。得体の知れない、しかも家に縛り付けるためだけにどこぞの男と結婚させるより、聖を愛し、尚且つ護り抜ける実力を有する篁なら───


吉治と咲樹は、顔を見合わせ頷いた。








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