novel
□遅過ぎた邂逅
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聖が高校に進学して2年が経った。もう、大学受験を視野に入れていなければならない時期だ。
「三者面談?」
「うん。進路のことについてだって」
「それで?お前はどこに行きたい」
「別に。私は、あの家を出れただけで十分だし、篁兄さんの側にいられればいいの」
「お前な……」
ハッキリ言い切った聖に、篁は呆れる。欲がないというか何というか。
聖の表情に嘘はなく、本当にそう思っていることが分かる。
「とりあえず大学は出ろ。そっちが不自然はないし、両親にも何かできるだろう」
「はーい」
「まったく……」
呆れてはいるが、聖を見つめる瞳は優しい。
ふと、時計を見た篁が仕事モードに切り替わった。
「仕事だ。来るか?」
「もちろん。手伝うよ」
物心ついた時から篁直々に、文武両道鍛えられた聖は、千年前昌浩だった頃よりも数段実力は上だ。晴明すら、越えているかもしれない。篁には全く勝てないが。イロンナ意味で。
「行くぞ」
「うん」
漆黒を身にまとった二人は、一度冥府へと向かった。
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