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□‡第零訓‡
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『コイツ〜。』
余裕こきながら寝ている姿に、ますます腹がたってきた。
ならばと、次は少年の鼻を、おもいっきり摘んでみた。
『…んむっ…んん…。』
少年は、すぐ息苦しそうに唸り始めて、少女の手から逃れようと、首を左右に動かす。
しかし、少女はしっかりと、少年の鼻を掴んで離さない。
『…んぐぅっ。』
(もう 良いかな?。)
相当苦しいのか、顔が歪み始めたので、少年の鼻から手を離してみた。
『むぅ〜。』
流石に起きた?。
『むにゃ…かー…。』
『…なんで?。』
少年の圧倒的な眠り深さに、少女は愕然とした。
普通…ここまですれば、起きて不思議じゃないのに…。
どんな神経してるんだろうと、呆れてしまう。
(これ以上やっても 仕方ないか…。)
少女は、小さくため息をついて、再び視界を上へ戻してみると…。
『…あっ。』
花びらが降りしきる中、後ろ側の空全体を、異郷な船が飛び交っていた。
それまで静かだった周辺は、船の高音で騒がしくなっている。
(さっきまでは 綺麗な青空だったのに…。)
少女は不快な気持ちで、飛び交う船を見つめた。