ゲ−ムブック
□クリスマスの病
「クリスマス病?」
「ええ、この時期に流行る病です」
現代からこの異世界、豊葦原の地で最初の冬を迎える千尋は、風早から耳慣れた単語にくくり付けられた病という言葉に反応した。
「流行り病…って大丈夫なの?」
「あ、ええ。症状は風邪みたいに様々なんですがね。軽い症状の人もいれば重い症状の人もいます。まあ、一日程度で直りますし」
「症状…って、熱がでたり?」
「ああ、俺はかかったことがないんですが…、確か熱はでないと思いますよ」
「じゃ咳とか…?」
「いえ、人によって様々ですが…、人にやたらと物をあげたくなったり、無性に鳥の丸焼きを食べたくなったり、赤や緑の色を好んで身につけたり。…ああ、あとこれが一番やっかいで重い症状なんですが、親しい友人や家族と離れて特定の感情を抱く異性と二人っきりになろうとするものもいて、一歩間違えば誘拐事件になりそうなこともある程です」
「…それって病なの?」
千尋は風早の説明を聞きおえると訝しげな表情をした。
「ええ、この時期にだけ何故か蔓延するウィルスのようなもので…」
「あ、そうなの…」
この世界にきて獣人の姿や翼を持つ人々に出会い大抵のことには驚かなくなった千尋はこの風早の話を受け入れた。
「みんな大丈夫かな…」
「ええ、もしかしてもう誰か病にかかっているかもしれませんね」
「そうだね、
- サザキは元々赤って感じだけど…
- 忍人さんはかからなさそうだね。
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