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□親指姫
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【親指姫】

●親指姫−深苑
●ヒキガエルの親子ーイサト・彰紋
●魚ー翡翠
●野ねずみー幸鷹
●モグラー泰継
●ツバメー泉水
●花の国の王子様ー紫
●ナレーションー勝真
・裏方(花梨・頼忠)


〜開幕〜


勝真『これから話すのは花から生まれでた愛らしい姫の物語。
彼女の名前は親指姫。とても小さなお姫様。昼は葉っぱの船で川を渡り、夜は花びらのふとんで眠りに…。』

深苑「ええい、いつまで説明しているのだ!不愉快な。」

勝真『…いや、なんであらすじ聞いているだけで不愉快になれるんだ…。』

深苑「小さいだの可愛いだのどうでもよい。早くこの劇を終わらせるのだ!」

勝真『なっ!それが主役の言うことかよ!いいか、八葉でもまだ主役にあたってない奴がいるってのにそのいいぐさは…。』

彰紋「わ、わあ、なんて小さくて可愛らしい方なのでしょう。是非、僕のお嫁さんになってくれませんか?。」

イサト「おお、そうだな、確かに小さくて可愛いよな。」

深苑「…。」

勝真『……親指姫はその愛らしさを近くの池に住んでいたヒキガエルの親子に見初められました。』

イサト「なぁ、おまえこのへんで評判の親指姫だよな。うちの息子の嫁さんになってくれよ。」

彰紋「よろしくお願いします。大切にしますから…。」

深苑「…彰紋様、確か貴方には何人も世話をされている女性がいらっしゃるはず。今さら私などを迎えずともよいのではないですか?」

勝真『…お前さ、いいから彰紋と結婚しちまえよ。ヒキガエルと親指姫が結婚すればナレーションの権限で劇を終わらせてやるからよ!』

深苑「なっ!だまれ。誰が嫁になどなるか!」

勝真『…え〜親指姫は泣いてヒキガエルとの結婚を嫌がりました。』

翡翠「おや、誰が泣いているのかと思ったら、可愛らしい親指姫。君だったのか。何か困ったことがあるなら私が相談に…。」

深苑「なっ!私は泣いてなどおらぬ。勝手な解釈はやめぬか!」

翡翠「おやおや強がるものではないよ。さあ、ヒキガエルが嫌なのだろう。私についてくるといい。ここから逃がしてあげよう。」

深苑「誰が海賊の世話になど!どうせお主も親切な振りをして私を嫁にしようという魂胆であろう!その手にはのらぬ。」

翡翠「おやおや、反抗期かな?困ったね。あっ、待ちたまえ。」

勝真『親指姫は魚を振り切り逃げ出しました。』


深苑「くっ、なぜ私がこんな目に…。はっ、もしやこれは神子の仕業では…。京にきてから冷たくされたことを根に持っての仕返しかもしれぬ…。」

勝真『親指姫が逃げるのに疲れ森の奥でしゃがみ込みんでいると通りすがりの野ねずみが話しかけてきました。』

幸鷹「どうかなさいましたか?何やらお困りのようですね。」

深苑「ああ、別当殿か。」

幸鷹「えっ?いえ、私は野ねずみで、名前ならまだしも別当という呼ばれかたは…。」

深苑「別当殿。実はな、私はどうやら神子に恨まれておるようなのだ。」

幸鷹「えっ!神子殿に?それは何かの間違いではないでしょうか。まあ、ここでは何ですから、どうぞ私の家においでなさい。」

深苑「ふむ、世話になるのは構わぬが、これだけはいっておく。決して嫁にはならぬからそのつもりでな。」

幸鷹「…いえ、私は野ねずみのおばさんの役なのでその方向にはいかないと思います。」

勝真『こうして親指姫は野ねずみの世話になることになりました。そして野ねずみの家にある日モグラが遊びにやってきました。』

泰継「幸鷹、はいるぞ。…む、お前は誰だ。」

幸鷹「あ、泰継殿、ようこそいらっしゃいました。こちらは親指姫。先日森でお会いして…。」

泰継「そうか、では私の嫁になれ。」

深苑「なっ!なにを薮から棒に…。」

泰継「理由などない。この台詞をお前に伝えるのが私の役目。」

幸鷹「そうなのですか。お役目とあれば仕方ないですね。あれっ。」

勝真『親指姫はまたもや望まぬ求婚から逃げ出しました。』

深苑「はぁはぁ、おのれ神子。どうあっても私を嫁にする気か…。」

泉水「…あの。」

深苑「嫁にはならぬ!」

泉水「え…あ、いえ、その、私は傷ついたツバメであなたに介抱してもらいたいのですが…。」

深苑「介抱するのは構わぬ。だが傷が癒えたら単身で帰ると約束するのだ。」

泉水「え、そんな。傷が癒えたら花の国の王子の元に嫁いでいただかなくては…。」

深苑「嫁、嫁、嫁!もう我慢ならぬ!神子は楽屋か!!」

泉水「あ、お待ちください!」

勝真『あ〜こうして親指姫はツバメを介抱して…。』

−暗転−





 
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