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□ジャックと豆の木
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〜劇場開演の二時間前〜



千尋「あのリズ先生、大変です!みんなが…!」

リズヴァーン「?…お前は…この前の旅芸人の…大変とはいったい何があったのだ?落ち着いて話してみなさい。」

千尋「実は…本番前に私達が楽屋に差し入れたキノコ汁を皆さんに食べてもらったら、突然皆さん、狂ったように踊りだして…、もうすぐ本番なのに、一体どうしたら…。」

リズヴァーン「キノコ汁…もしやそれは踊りダケでは…。」

千尋「踊りダケ?!…もしかして死ぬまで踊るとか…。」

リズヴァーン「いや、大丈夫だ。踊りダケの効果は2、3日だ。安心しなさい。」

風早「あの…すみません。俺達が差し入れたキノコが…。」

リズヴァーン「お前達は…?」

柊「ああ、これは…挨拶が遅れて申し訳ありません。私達は彼女の率いる旅芸人の一座の者です。」

千尋「え!率いてはいないけど…。」

忍人「そうだな。見知らぬ土地の食材を差し入れるなどと軽率な行動をする人間が座長では説得力がないだろう…。」

千尋「ごめんなさい…。」

風早「いえ、止めなかった俺達も同罪ですよ。…キノコの件のお説教は後ほどということで…。」

柊「そうですね。今は開演の迫ったこの危機的状況をどう打開するか…ですね。」

千尋「リズ先生…今日の演目は…?」

リズヴァーン「『ジャックと豆の木』だ。」

千尋「風早、柊、忍人さん、お願い、力を貸して!」

風早「え!」

忍人「…まさか、君のいう力とは役者として舞台に上がれ…ということか。」

千尋「あと、二時間ある。リズ先生、台本を!」

風早「あの…。」

リズヴァーン「…台本を貸すのは構わない。だが今日の劇は一歩間違えば命をおとす危険がある。それでもお前は出演するというのか…。」

千尋「はい!成功の可能性があるならそれに賭けてみたいんです。」

柊「さすが我が座長ですね。肝がすわっていらっしゃる。どうぞこの私の命、存分にお使い下さい。」

忍人「…もう芝居を始めているようだな。」

風早「ハハハ、仕方ありませんね。」

リズヴァーン「…来なさい。」

千尋・柊「はい!」

忍人・風早「…。」



そして彼らは舞台へ上がるのだった。



 
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