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□ヤギさん郵便!?
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「こんにちは。望美さん。ああ、譲君も。京は大丈夫でしたか」
「弁慶さん!お帰りなさい」
「弁慶さん、お久しぶりです。鎌倉のお仕事一段落ついたんですか?」
頼朝に呼ばれ鎌倉にいた弁慶が数日ぶりに京にいる望美達の元を訪れた。
「景時さんや九郎さんも一緒ですか?」
望美は弁慶の後ろを覗き込むような仕草で尋ねた。
「いえ、九郎と景時はまだ鎌倉です。僕も京での用を済ませたらすぐ鎌倉に戻らなければなりません」
「そうですか…」
ややがっかりしたような望美に弁慶は、
「ああ、九郎から『自分達が戻るまで京を頼む。』と言付けがありました。あと、景時からはこれを預かってきました」
弁慶が手紙を渡すと望美の顔がパァ−と明るくなった。そのことに気付いた弁慶と譲の視線を受け望美はコホンと咳ばらいをして
「景時さんだけ?九郎さんは何もないの?」
と照れを悟られぬよう聞いた。
「九郎が手紙なんか書く訳ないでしょう」
弁慶は望美の問い掛けににっこり笑って答えると
「僕は用を済ませたら鎌倉へ戻る前にこちらに寄らせてもらいますので。返事があればお預かりしますよ」
「ありがとう。弁慶さん」
よかったですね。先輩。
ではと弁慶は微笑みその場を去った。