オリジナル小説(ラグナロク)

□神界の道化師
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*ラグナロク*

T.神界の道化師

 ここは、空の高くにある人知を超えた世界。〜アースガルド〜
神族のみが住むことを許された土地である。この物語は、ここに住む悪戯好きだといわれている神様のお話。


「きゃぁぁぁ!!」



アースガルドのにぎやかな市場に大きな悲鳴が響いた。
周りのものが、その方向を見ると見慣れてしまっている人物が。


「ごっめ〜ん。ぶつかっちゃった〜。」


その人物というのも、この神界で悪戯好きで最も有名な少年が。
彼の名は、ロキ。

神族の敵、巨人族の血を引いていながらも最高神オーディンにその実力を認められ、神々の聖地・アースガルドに住むことを許された神である。

ルーン魔法の使い手でもあり、大いに優秀なのだが悪戯好きなのが玉にキズ。



「もう!いい加減にしなさいっ!昨日もそういって私から1000ツェル(日本円で1000円)盗ったでしょ!!」



被害者はカンカンに怒っている。怒鳴り声をあげ、ロキを睨んでいる。



「なにいってんのさ〜。」


これで動じないのが、ロキという男。

ロキは人差し指を立て、説明口調で女に言い聞かせた。



「君から盗ったのは1000ツェルだ。でも、昨日は盗ってないさ。だから、2000ツェル返そう。
そうすれば、迷惑代として君が儲
かるだろ?」


とロキは2000ツェルを差し出した。



「・・。そうね。じゃあいいわ。」



と女は2000ツェルをひったくって、身を翻して去っていった。



「甘いねぇ・・・。」



ロキはつぶやいた。
すると、後ろで声がした。



「よぉ!まーたやってんのか?相も変わらずずるがしこい野郎だ
ぜ。」



「トールか・・。騙されるほうが悪いのさ。」



その男の名はトール。ロキの友人で雷の神。正義の名の下に動く男である。

あっけらかんとした性格で、細かい事など気にしない。豪快な男なのだ。



「騙すほうが悪ぃに決まってんだろ。お前はいつもいつも悪戯ばっかして・・・懲りない奴だな。」




〜続く〜
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