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□最高に幸せな瞬間
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目を開ければ最愛の妻が傍にいる。それはきっと最高に幸せであり、一番大切な時間であると、僕は思う。

これからもずっと…永遠に。



窓辺から差し込む朝日に目を覚ましたのは、ここ、アシェンバート邸の当主、エドガー。
「朝…か」
寝返りをうつと、隣に眠る愛しい妻、リディア。規則正しく聞こえるのは彼女の寝息。
「リディア、こんな無防備な君の姿が見れるのは…僕だけだと思うと…」
嬉しくって仕方ない。
そっと頬に手を添えると、小さな声と共に瞼がゆっくりと開かれた。
「ん…」
リディアが目を開けると、灰紫の瞳が自分を見つめていることに気がついた。
「エドガー?どうしたの?」
きょとんとした表情で見つめ返えす妻に、エドガーは微笑む。
「いや…君の可愛い寝顔を見れるなんて、僕はなんて幸せなんだって思ってね」
「エ、エドガーってば!」
惜しげもなく甘い台詞を吐く夫に赤面するリディア。結婚してからは徐々に慣れてきたとはいえ、やはり彼の言葉にはドキドキしてしまう。
私ってば!エドガーともっと夫婦らしく…ラブラブしたいのに。
素直になれない自分に腹が立ってしまう。けれどそんな表情はみせないように、リディアはベットから降りると、着替えをしようとクローゼットに向かう。
「ねえ、リディア」
「きゃあ!何…」
背後より抱き締められ、リディアは思わず声を出す。密着する体。顔を向ければ、大好きな夫の顔が間近にあり、目線が合う。
「っ…」
恥ずかしくて顔を背けると、耳元でエドガーが囁く。
「リディア、そんなに可愛く…赤くなられたら、我慢出来ない。だから…」
が、我慢出来ないって。
冷や汗をかきながらゆっくりと彼から体を離していく。
「エドガー、ダメよ。だってほら、まだ朝になったばかりよ」
窓辺を指差し、必死に状況を回避しようとする。だが、彼はにっこり微笑むと、
「大丈夫、朝ご飯までには間に合うから」
なんて言い出す。
そんな問題じゃないでしょ!!と目で訴えるが、エドガーは聞き入れてくれない。彼は軽々と妻を抱き上げると、先程まで横になっていた夫婦のベットへ彼女を寝かせる。
「愛してる、リディア」
「まっ…」
返事を返す間もなく、唇を塞がれてしまう。
長いキスの後、エドガーは朝ご飯までにたっぷりとリディアと愛し合ったのだった。










おしまい。
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