本棚T

□ギリギリ路線まっしぐら
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エドガーとの愛を深めた次の日。
当然の如くリディアはベットから起き上がれず、そんな彼女にエドガーは
「ゆっくり体を休めてね」
なんて言って横になっているリディアにキスをする。
そのキスは眠りへと誘い…。頬を真っ赤に染めた彼女がこくりと頷く。
「ええ…ゆっくり休むわ。お仕事、頑張ってね」
素直に頷くところが可愛い過ぎて、またまた愛を深めようと考えるエドガーであったが、仕事もあるので止めることにした。部屋を出る瞬間、もう一度リディアにキスするとエドガーは部屋を後にした。






朝食を食べ終えたとき、ふいに玄関の呼び鈴が鳴る。
「こんなに朝早く…一体誰だろう?」
「エドガー様、私が出て参ります」
レイヴンがすかさず玄関に通じる廊下を出で行く。
数分後、レイヴンとともにやって来たのはリディアの父、カールトン教授だった。
彼は伯爵に一礼すると恥ずかしそうに話し出した。
「おはようございます伯爵。こんな朝早くに失礼致します」
「いいえ、来て頂けてとても光栄です。あなたはリディアのお父様であり、僕のお義父様でもあられる」
にこやかに話すエドガーに教授は軽く微笑みながら会釈する。エドガーは教授をソファーに座らせると、やって来た理由を聞いてみた。
「ところでお義父さん、今日はどのような用件で来られたのですか?」
いきなり本題を聞かれ、出された紅茶を危うく落としそうになる。そして先程と同じく恥ずかしそうに話し出した。
「はぁ、誠にお恥ずかしい話しなのですが、娘、リディアが伯爵の元へ嫁いで早や3ヶ月。独りであの家にいるとどうも広すぎて。リディアは時折顔を見せにやって来るんですが、やはり…」
紅茶をすすりながら話す教授はどこか寂しそうだ。その姿を見たエドガーはピンときた。

教授はリディアに会いにきたのだ。

そうと分かれば話しは早い。席を立つとエドガーは、教授にリディアを連れて来ると伝え、部屋を出た。しかし、
「エドガー様、昨日のお仕事の件で、先方様がお見えになられました」
取り次いだメイドはエドガーに用件を話すと、如何いたしましょう?と訊ねる。
「こんな朝早くに…分かった。先方を客間に、僕も行くからと伝えてほしい」
メイドにそう指示すると、踵を返して教授の元へ戻る。
「お義父さん、実はお仕事の件で先方がお見えになって。少しお待ち頂けないでしょうか?」
「ああ、大丈夫です。お仕事が忙しくて大変ですね。お体に気をつけて下さい」
気遣いの言葉を頂き、エドガーは先方に会いに客間へと向かった。





一方リディアはというと、眠りから覚め、少し遅い朝食を取りに行こうと部屋を出でいた。朝食を取ったら直ぐに戻ろうと思っていたので寝着の上に若草色のショールしか羽織っていない。見慣れた廊下を歩き、朝食の用意がされている食卓ルームへと歩を進める。
(エドガー、もう仕事に出ちゃったわよね…)
そんなことを思いながら歩いていると、聞きなれた声が聞こえ、リディアは歩みを止める。
「この声、父様だわ!」
父親だと分かるとつい嬉しくなり、声のした部屋へと急ぐ。
廊下を曲がり、軽くドアをノックすると気持ちも漫ろに部屋に飛び込む。
「父様!来てくれたのね!!」
「リ、リディア!いきなりびっくりするじゃないか」
驚きながらも自分の胸に飛び込んで来た娘を抱きしめる。
時折顔を見せているとはいえ、やはり親子。会えなければ寂しいものだ。
父親からの優しい抱擁が済むと、リディアは何故やって来たのかと問う。
「ねぇ、父様。今日はどうしたの?」
「え…と…ねぇ…」
娘の質問に行き詰まる父にリディアはいぶかしむ。
「父様…?」
疑問気に聞き返すリディアだったが、父はコホンと咳ばらいする以外、答えてくれない。
「父様、どうして黙って…きゃあ!!」
イタズラな小妖精が開けた窓から風が入って来、リディアは羽織っていたショールを床に落としてしまう。
「リディア、ショールが落ちた…」
「ありがとう、父様。…父様?」
父が拾ってくれたショールを受け取ろうとするが、父は娘の何かに目を奪われている。
それが分からず、リディアは首をかしげて父を見つめた。
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