連載小説

□再会とは程遠い道のり
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スコットランドのカールトン家に一人の少女が訪れていた。先程から何度も家の呼び鈴を鳴らすが応答はない。
『留守…。どうして、手紙に書いていた日時より早く帰ってきたからかな?』
少女は振り返ると重い鞄を引きずりながら、門前にあるポストを覗いた。中には小妖精たちが置いていったのであろう、小花が入っていた。それと一緒に入っていた一通の手紙。
『これ…私がお姉ちゃんに出した手紙だわ。封が…開けられていない。』
未開封の手紙。何度鳴らしても出ない家。
『まさか!お姉ちゃん…家出したんじゃ…』
真っ青になりながら慌て出す少女を見かねた小妖精が、クイクイとスカートの裾を引っ張り、自分の存在を知らせる。
『え、何?ブラウニー…』
自分の服を引っ張る小さな存在に、少女は姿勢を低くして聞き返した。
ブラウニーはと言うと、少女が気づいてくれたことに些か嬉しそうで、ピョンピョンと跳ねている。
気持ちが落ち着くとブラウニーは何かを訴え始める。少女はふむふむと頷くと、なるほど!と理解する。
『ありがとう、ブラウニー。』
お礼と一緒に取り出した、小さな包みをブラウニーに手渡す。
『はい、クッキーよ。お姉ちゃんみたいに上手く出来てるか分からないけど。』
包みを受け取ったブラウニーはその場で早速包みを開き、クッキーを食べ始める。
美味しそうに食べる姿を見て、少女もにっこり微笑む。
ブラウニーが食べ終えるのを見届けると、少女は再び重い鞄を持ち、歩き出した。今度こそ、姉に会うために。
『よし!お姉ちゃんに会いに行くぞぉ〜。』
掛け声とともに揺れるキャラメル色の髪。少女の瞳はリディアと同じく、金緑の色をしているのだった。








続く。
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