副。

□innocent expectation
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  僕はキタナイ"人間"だから、こんな想いは持っちゃいけないんだ。言葉にさえしなければきっといつかは消えていく。だから僕は…そんなにもキレイで純粋な君を、困らせたくないんだよ。

「…くん、悪魔くん!」
「ふぇ?」
 噂をすれば影、とはよく聞くが、噂もしていないのに影どころか本人の顔が目の前にあるとは思いもよらず、不意に妙な声を上げてしまったことに真吾は赤面した。恥ずかしさを隠すように目を逸らしながら必死にごまかしを図る。
「な、何だよメフィスト二世!黙って部屋に入ってくるなんて!」
「そっちこそ何言ってんだ悪魔くん。俺は何度も声をかけたんだぜ?」
 怒るというより困った顔で頬をかきながらメフィスト二世は応えた。その反応で真吾は少し落ち着きを取り戻すと、申し訳なさそうにぽつりと呟く。
「ご…ごめん。ちっとも気がつかなくて…」
「そんなにボーっとして、ひょっとして学校で何かあったのか?!」
 自分のことを本気で心配してくれている瞳に、胸が痛んだ。なんて事を悟られる訳にも行かず、真吾は精一杯明るく笑ってみせることにした。
「あはは、違うよ〜」
  笑うんだ、僕。彼に何も気付かれることの無いように。
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