1〜8話はmainの旧拍手の中にありますので、お読みになっていない方は読んでみて下さい。
君を愛す
story 9
『一護…?』
そんなの予想だってしてなかった。
だって、
あの日、私達の付き合いは終わったはずで…
一護に会う事なんてなかったはずなんだから…
『な、んで…』
「あんなんで終わりに出来るわけねぇだろ…」
一護は苦し気な顔で一言そう溢す。
私は溢れてくる涙を押さえられなくて、せめて声が漏れ出てしまわないように口元を押さえたまま俯く。
「じゃあ俺は外出てくるから」
恋次はそう言うと執務室を出ていく。
静かな執務室に残されたのは私と、一護だけ。
先に言葉を発したのは一護だった。
「あれからスゲー考えた。
俺が人間である事、お前が死神である事、
生きてる時間も世界も、全てが交わらない事、
色んな事を色んな風に、考えた…
でも一番でかく確かなのは、俺が…お前を好きだって事実だ。」
一護の言葉が真っ直ぐに私の胸に突き刺さる。
「好きだって気持ちで沢山のものを犠牲にするのは間違ってるのかもしれない。
それでも、たとえ沢山のものを犠牲にしたとしても…俺は…この気持ちに嘘をついていられる程、大人じゃない…」
一護の声が少しだけ震えていた。
どうしたら伝えられるんだろう。
私も貴方が好きだって、
たとえ間違っていたとしても、貴方を愛しているって。
『一護…』
一護が私を見る。
私が一護を見る。
あぁ、愛しいってこういう事。
『私は一護が好き…だから私の事好きでいて、私は貴方を好きでいる』
辛い恋だと知っていた。
それでも二人で恋に落ちたのは、(貴方)(君)じゃなきゃ駄目だと知っていたからだ。
「ずっと…愛してる」
時間が私達を引き裂いても、
世界が私達を引き裂いても、
私達は一生お互いを想い続ける。
いつか、同じ場所に立てるまで何十年でも、何千年でも、愛し続ける。
『私もずっと、愛してる。』
強く、優しい口付けは、
将来を誓う、約束の口付け。
いつか来る未来は輝いて
(沢山悩んだ)
(沢山泣いた)
(それでも君と共に過ごす未来は)
(幸せだった)
拍手ありがとうございました!.