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□Though this is an egoism.
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それはまだ、みんなが仲良くなる前のお話――――――






俺はロックオン・ストラトス。もちろん本名じゃない。本名だったら親を恨んでる。…多分、俺じゃなくてもそうだろうよ。



この名前を名乗るようになって1年。CBのガンダムマイスターが4人揃い、クルーも揃ったトレミーで、初めての正月だ。

まだ武力介入をするに到ってはいないが、すでにトレミーは宇宙浮遊中である。
ガンダムの調整もあって、忙しい毎日だよ、まったく。




ここは第2ブリーフィングルーム(仮)。大きなモニターと食堂のようなテーブルとイスがあり、俺はそのひとつに座っていた。

「ロックオン、整備は終わったのか?」
声を掛けてきたのは、ラッセ・アイオン。親しみやすくて、それに良い奴だ。

「ん、ああ。ハロと協力してな。大晦日だし、デュナメスのテスト飛行まではまだ時間もあるし」
「そうか。…そういや、明日にはもう来年だったな」

ラッセが軽く浮遊しながら席に着く。俺の目の前に座って雑誌を読み漁っていたアレルヤが顔を上げた。

「…皆さんは、正月を祝うんですね」
「アレルヤは祝わねぇの?」
「いえ、そういう訳じゃ…。ただ祝う習慣が無くて…、それに、今起きてるのも宇宙じゃ時間の感覚がズレてるだけですし。地球に住んでたら今頃は寝てますよ」
「あー、まあ、そういう奴も居るわな」

俺はアレルヤに雑誌をひとつ借りて読み出す。
昨日からトレミー内では大掃除を始めていて、終わった順にこの部屋に来ている(と俺は思っている)。
だから順位をつけるとすれば、アレルヤ、俺、ラッセの順で終わったのだろう。
女性クルーが居ないのは、彼女らが食堂で日本の『年越し蕎麦』と『おせち料理』を作っているからだ。何故 日本のかは知らない。
きっとミススメラギが日系だからだろう。

そのせいでティエリアとおやっさんが被害を被っている(昨日がテスト飛行の日だった)。最年少の刹那はミススメラギにリヒティとブリッジの掃除を頼まれていたし、俺も廊下をひとりで任された。それでも早かったのはハロ達が居たからだが。





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