V
□それが俺への罰ですか
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いいのか、と問う声があった。
それを頭の中で打ち消しながら、煙草をくわえ、思いきり吸う。吸いすぎてゴホ、と咳き込むが、そんなことはどうでもいい。
今は、この目の前のヤマを越えなければ。
俺はライル・ディランディ。商社で働いているが、その裏では反政府組織カタロンの構成員をしている。そんな普通の人生から少し外れた生活を送っていたのだが。
「…んだよっ、これ…」
ソレスタルビーイングと名乗る組織に勧誘された、と言えばいいだろうか。その際に渡された彼らのデータ。見れば、本当に彼らのことが書かれていた。
本気で俺を仲間にしようとでも思っているのだろうか。
クラウスに相談して、一応スパイとして入ることにはなったが。
兄さんと一緒に居た組織。俺は彼らに認められるだろうか。自信はないが、やってやろうとも思う。
俺がカタロンの構成員になったのには理由がある。
兄さんの居ない場所で、兄さんと比べられないまま、俺を求めてくれる人を探してたから。
カタロンには、それが備わってた。
でもそれは、逃げていただけなんだ。俺は、俺自身から。
データの入ったメモリーカードを機械から引き抜いて、新しい煙草に火をつける。
あと少しで出なければ、軌道エレベーターのトレイン発車時刻に遅れてしまう。
新しく出した煙草を灰皿へぐりぐりと押し付けて、火を消した。
立ち上がって、コートを取る。
行かないと。と思った。それが俺の使命だ、と。
今まで逃げてきた俺への罰。
兄さんと向き合う時が来たのだ。
「俺は、ロックオン・ストラトスだ。…兄さんの後を継ぐのは、俺しか居ないからな…」
2009.4.17.
短いですすいません。
ライルはCBに入るのが自分への罰だと思ってます、て話ですね。