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□戦いが終わったら
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ミッションの前には、必ずと言って良いほどロックオンがスキンシップをはかろうとする。

まるでこれが、最後の触れ合いだとでも言うように。


『キュリオス、カタパルトデッキへ移行します』

鑑内へのアナウンスが流れる。
久しぶりのガンダム4機出動だ。もうパイロットスーツに着替えているティエリアは、ヴァーチェの最終チェックに向かった。

部屋には、俺とロックオンのみ。胸元のファスナーを閉め、ヘルメットを持って出て行こうとすると、ロックオンに腕を掴まれる。


「…何だ?」
彼はすでにパイロットスーツに着替えていて、いつでも出動できるはずだ。

「刹那、…抱き締めても良い?」

幼い子供のように、母親を求めているみたいだ。

「…嫌だ、と言ったら?」

「力づくでする。」

「…」

沈黙を肯定と受け取ったのか、ゆっくりと抱き締めてくる。
抵抗しない俺を見て、ロックオンの腕に力が入った。



『アレルヤにタイミングを譲渡』

小さな震動で身体が揺れる。キュリオスが発鑑したのだろう。


『ヴァーチェ、カタパルトデッキへ移行します』

「ロックオン、俺…行かないと」

「あと少し、待って」

ふわり、と彼の香りが鼻孔を擽る。気持ち良くて、目を閉じた。
視界を奪うことでロックオンをいつもより感じられる。


「…刹那、」

顔を上げると、額にキスを落とされた。

「好きだよ。刹那」

反則だ。その笑顔とその声で、俺が癒されているのを。彼は知らない。


「…ロック、」
『タイミングをティエリアに譲渡』

続きを言おうと口を開いた。

「ほら、次は刹那の番だぞ」

行ってこい、と笑うロックオンが淋しそうだったけれど、何も言えない俺が居た。

「ロックオン…」

エクシアの格納庫へ向かいながら、彼の名を呟く。


「好きだ…」

伝えられなかった言葉をここで吐き出す。

腰にある端末が鳴り出した。
開くと、端末はスメラギさんを映す。

「刹那、エクシアは行ける?」

「もうすぐ着きます」

コックピットハッチを開けて乗り込む。

瞬間に、アナウンスが流れた。

『エクシア、カタパルトデッキに移行』

小さく深呼吸をして、拳を握る。

『刹那に、タイミングを譲渡します』


「エクシア、刹那・F・セイエイ。出る」


彼を好きだという気持ちは止まらない。

戦いが終わったら、貴方に。

この触れ合いが最後にならないように。



「ロックオン…、好きだよ…」








END



2008.6.14.
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