11/11の日記

18:59
BL注意! バイオハザード
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ジェイク×クリス



















































『cruel』



彼を手に入れたと、そう驕っていたのだろう。乱れる彼を、俺を求める彼を、もっと欲しくなってしまった。


「クリ、ス、」
「あぁ、は、ん、」


つんと立ち上がった乳首をねっとりと舐め、ちゅっと軽く吸ってやれば、後ろに咥え込んだ俺を締め付ける。あの日無理矢理に抱いた身体は、既に完成されていた。誰がやったか、なんて。考えたくもない。だが、クリスが俺の瞳を見つめる時、俺は強く憤る。彼は、俺を見ていやしない。久々に抱いた彼が変わらず俺の向こうばかりを見るから、引いてはいけないトリガーに指を掛けてしまう。


「なぁ、親父ともシたのか?俺より良かったか?」


虚ろだった瞳が大きく開かれる。まずい、と思った。それ故、繕う様に、軽率な言動をあやふやにする様に、俺は過ちを重ねた。


「俺は親父とは違う、なぁ俺を求めろよ。」
「…、れ」
「あ?」
「どいてくれ」


圧のある低い声に一瞬怯む。とろけきっていた筈の身体が嘘のように力強く俺の肩を押しのけ、ふらつきながらも立ち上がる。


「そうだな、お前は…ウェスカーじゃない。」
「おい、」
「もう止めよう。無意味だ。」


一糸まとわぬ姿は美しい。均整のとれた見事な筋肉の作る影がエロティックだが、芸術的だと俺は思う。俺には逆立ちしたってビガクテキな専門用語だとかはひねり出せないが、そんなの必要ないくらいに彼の美しさは完璧だ。打ちっぱなしのコンクリのビルにベッドを置いただけの何のムードもない空間に落ちる沈黙に心が冷えていくが、高揚した身体はまだ彼の元にある。彼の言葉の意味が、上手く俺の中に入ってこない。只、引き締まった尻の奥で俺を咥えていたんだとか、上腕二等筋の盛り上がり方が俺とは違うとか、兎に角、俺は俺の事しか考えていなかった。無かった事にしたかったんだ。それなのに、身体が動かない。


「…悪かった、俺はお前をウェス」
「言わないでくれ」


彼の悪い癖だ。直ぐに後悔する。直ぐに謝る。そうやって俺を苦しめる残酷な彼が、愛おしくて堪らない。


「良いんだ、このままで良いんだ、行かないでくれ」


背中から抱きつき、耳元で弱々しい声を出す。掠れてしまったのは本当だが、少し態と、そうした。そうすれば優しい彼が許してくれる、思いとどまってくれると、淡い期待を抱く俺も、残酷だ。
トリガーはいつも空砲を大きく鳴らす。そうやって俺たちは偽りのラブゲームに振り回されるんだ。互いに傷つけるだけ傷つけても、彼は俺を見ないし、俺も彼に忘れさせられない。何も生み出さないセックスとは呼べない快感だけの行為に俺たちは溺れるだけ溺れて、そのあと何が残るんだとかは考えない。もしかしたらどうだっていいのかもしれない。俺たちが離れるときは、きっとどっちかが死ぬ時だろうし、もしそうなったって別に泣いたりしないだろうし。でも、矢張り悲しいと思う。この芸術が事切れてしまうことがじゃなくて、彼が結局俺を見なかったって嘆くかもしれない、酒に溺れるかもしれない。でも、俺は知っている。あんたが俺の気持ちを若さ故だと思っているだけだとしても、俺は、本当にあんたを。


「なぁ、続き、」


彼の肩を掴み乱暴にベッドに引き倒し、戸惑いに濡れる瞳を睨みつけたまま口づけ、何も考えられないように強ばった身体を再び暖める。親父ならこうしただろう。



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