昔々在る処に
□散花
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トサッ、とソファーにもたれかかったら、体の力が急に抜けた。
「とりあえず、薬ここに置いときますから」
「…うん……」
彼の声は聞こえるけれど、ウトウトしていて頭に入らない。
「じゃあオレ、帰りますね」
「う、ん……。あ……」
思い出した。
「…どーかしました?」
帰ろうとしていた彼が振り返る。
「水、…水やりしなきゃ…」
体が動かない。
「水?…あぁ、ベランダの花っすよね?」
オレがやっときますから、寝てていいっすよ。
そんな声が聞こえたのでおとなしく寝ることにする。
今度はこの少年にお茶ぐらい入れてあげようか。
その後に見た夢は、今までで一番幸せで、
あの人の夢だった。
END
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アトガキ。
追悼っぽくなりました。
この話は鹿視点も書きます。
多分です。