昔々在る処に

□散花
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「ハァ…ハァ……」




ガクガク震える足を引きずり、壁にもたれながらリビングへ向かう。





その時だった。






コンコン、




「紅さん、いますか?」


鼻にかかった声。


すぐにシカマルだと分かった。






「鍵、開いてるから入ってくれる?」




今出せる一番大きな声で戸口に叫んだ。



とは言っても、体が辛くてあまりは出なかったのだけれど。





ガラッと音を立てて、入ってきたのはやはりいつもの少年だった。
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