昔々在る処に
□I'll go…
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「アンタは煙草が好きだったが、オレは嫌いだ」
少年は話し始めた。
「紅さん、元気にしてるよ。アンタの赤ちゃんも。…アンタによく似て、親父臭くなりそうだぜ」
返事はない。
「オレも、ちっとは成長したぜ?もうアンタと同じ上忍だ」
返事は、ない。
「ずっと言ってなかった事があるんだ」
少年は言った。
「オレは、アンタのことが」
“好きだった”
そう続くはずの言葉は、風によってかき消された。
少年は悲しそうに言った。
「やっぱ今の無しな」
END