昔々在る処に
□それこそが
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今日は最近にしては珍しく、パレットから切り取った青のような雲一つない晴天。
だというのに…
オレの心の中は9割が雲で覆われている。
つまり、曇り。
そんなことはどうでもいい。
気に食わないことがある。
別にムカついてるとかじゃない。
ただ少し腹立たしいだけだ。
いや、それをムカついてるって言うんだっけ。
「なぁなぁナルト、今度の休みさ…」
ガヤガヤと騒がしい教室の中でも、キバの声は自然に耳に入ってくる。
(今度の休み、だと?)
オレとじゃなくて、ナルトと。
「おー!!じゃあどこ行くってば?」
「あ、オレ行きたいとこがあんだけどさ…」
どこだってばよ、と言うナルトの声で机に俯せていた顔を少しだけあげてみる。
キバがナルトの耳に口を寄せて何か話していて。
あー…見なきゃよかった。
キバはナルトとどこに行くんだろう、そう思うと無性にイライラして、まだ二時間目が終わったところだが気にせずに、ガタンとイスから立ち上がりカバンを持ち教室を出た。
「シカマルどこ行くんだってばよ?」
「え?シカちゃんサボんの?」
キバとナルトに声をかけられたが、無性に苛立ってたので
「しんどいから帰る。じゃーな」
と言って、オレもサボるわ…なんて言ってるキバを振り払って走って下駄箱に向かう。
「…カッコ悪ぃな……」
別に友達と遊びに行くなっていう訳じゃない。
オレだってナルトたちとつるむし、出かけたりもするけど
するけど、キバを置いて遊びに行くなんてことはしたこと無かったのに。
衝動的にここまで来てしまったけれど、今からどうするべきか。
こんな時間に家に帰ったら母ちゃんにどやされそうだな、と思い、そんな思いをしてまで家に帰ってもすることがないので、あまり人通りがない場所をウロウロすることにしよう。そう思って、先生等に見つかる前に早足で校舎を出た。