DevilMayCry

□BLOODYRAIN
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『BLOODYRAIN』




雨が窓を叩く。

一瞬のうちに降りだし強くなる水音。

バージルはついに降りだしたかという顔で外を横目で見る。

つんと濡れた土や葉の匂いが彼の鼻を掠めた。

どうしてだろうか、嵐のようにひどい雨の時は胸が軋む。

理由の見当たらない不安。読書もままならなくなってしまう。

だから、バージルはそっと本を閉じた。

雨にやられた冷たい空気を頬で感じると喉の奥に何かがつかえる。

雷の音が腹に響くと無意識に眉間に皺を寄せてしまう。


…どうしてだろうか。


導きだせない答えに飽きて彼は目を閉じる。

瞼の裏に映るのは―――赤い色。

あの愚弟を嫌でも連想させられる。

違う、あの愚か者は「答え」ではない。

ああ、もしかして赤は血なのか。


今、バージルは開けてはいけないパンドラの箱に触れた気分になった。


考える意志と停止させようとする本能がせめぎあう。


―――そうか。
きっとあの日はこんな感じのひどい天候だったのだ。

何も出来ず無様な自分自身を認めさせられた日。

家族を奪われた日。

―――これから来るであろう、たった一人の弟と決別する日も。



こんな頭の痛くなるような天候に違いない。

だが、晴れも嫌いだ。
あれは愚弟のものだ。



バージルはまた静かに本の文字を拾い始める。

ため息を、ついて。






END

初バージルでした。
言っておきますが、バジダンとかでは決してないので(笑)

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