お題

□美しき死刑囚
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『あんたは…、何をしたんだ?』










俺は好奇心に流され、

向かいの牢屋にいる、



そして





死刑囚である青年に聞いた。








「…」


『話したくない?

…なんか、あんた見たところそんな悪い奴に見えないからさ。

…気になって。』





「…人は見掛けによらないんだよ。

…君は何したの?」



『へへっ、公務員と喧嘩した!』





俺は笑って言う。


いや、反省してるよ?





「ふーん…。

ダメだよ?悪いことしちゃ。」

『死刑囚が言うことかよ!』



思わずつっこむ。



「…まだ若いんだから。

人生無駄にしちゃダメ。」






死刑囚は俺を真っ直ぐ見つめ、
微笑む。









『……本当に…、何したんだ…?』











今度は、

好奇心ではなく。


真剣に尋ねた。














死刑囚は口を開く。







「……僕はね。













大切な人を殺したの。」












『……ぇ……?』









思わず息を呑んだ。







この青年が?



大切な、人を殺す……?












『…ど、うして…?』

















「…愛おしくて…愛おしくて…、




……愛しすぎたから……






大好きだから…、


僕だけのものに、したかった」










未だに青年は微笑んでいる。




だが、





泣いているように、俺には見えた。










『後悔、…してるのか?』








「…してないよ?




………もうすぐ、会えるんだ…



僕が愛した人に……。」




















狂っている。
























俺は、怖かった。










笑って、殺した人のことを語るこの人が。







笑っていながら、



悲しい瞳をしているこの人が。














でも、




死刑囚は



とても嬉しそうで、幸せそうで、





…満足していて。















『…僕は後悔なんてしたことない。


これからも、後悔なんてしない――。』






























みとれた俺も、



狂ってる。


















fin...





















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