お題

□きみにたくさんの幸福をあげるよ
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『……お前ってほんと鈍いよな』


「は?何か言った?」



俺は溜め息をついた後、続けて喋る。



『えーと、一年B組、西村。今日は親の見舞いにいっていたため遅刻…』

「嘘つかないの。あと、下の名前もいって。
はい。ほんとの理由は?」


『…別に、下の名前ぐらいもう覚えてるだろ』

「えぇ。あなたが毎日毎日毎日毎日毎日、見事に遅刻してくれるから、

風紀委員である私が、あなたの面倒を見なきゃいけないのよ。嫌でも頭に入るわ

西村 一樹くん」


『そりゃ嬉しいね。』


「殴ってほしい?

……で、遅刻の理由は?」



『………………』



「…?どーしたの」


『…や、ほんとに鈍いなって』


「……何がよ。」




『………………





















こーいうこと。』







「っ!?」



















何したかって?



もちろ「何すんのよ!!このセクハラっ!!」


『…だって気づいてくれない方が悪いし。』


「え…っ、な…、だからって…!」


『あれ、ファーストキスだった?

…ラッキー』


俺は笑う。


「うるさいっ!!どーしてくれんのよッ、わた、私…!

…責任とってよねッ!!!」


『…………。』



彼女はかなりパニックに陥ってて今自分の言ったことの意味をあまり理解してないようだ。(マジでいったのかも。)



『…もちろん、そのつもりだけど?』



俺は彼女の顔に手を添え

真っ直ぐ見つめる。



『……実は俺に惚れてたろ?

明美。』


「へっ!?…そっ、そんなわけないじゃないっ!!
遅刻ばっかする奴なんて……!
大っ嫌いなんだからっ!!」



『…顔真っ赤にして言われても説得力ないよ。

……いいじゃん。両想いなんだから。


……好きだから、付き合って。』



「…っ…」




『なんのために毎日遅刻したと思ってんだよ。

…返事は?』







「……は、ぃ…っ」



『ちゃーんと言えよ。』



「な…っ!!もういいでしょっ!!
今ので十分じゃないっ!!


ほらっ!!早く自分の教室戻りなさいよっ!!」



未だに顔を赤くしながら明美は俺からはなれ、
教室を出ていこうとする。



『…今日の放課後正門。デートだから、

遅れんなよ?』




「うるさいっ遅刻魔!!!」









可愛いやつ。






まぁ、


今まで怒らせた分。











きみにたくさんの幸福をあげるよ






これからは口実なんていらない。




ずっと側にいてやる。

















fin...














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