お題

□彼が眼鏡をはずすとき
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「まや」



低く、透き通った声が、
私を呼ぶ。





『なに?達也。』

私は彼氏の名前を呼ぶ。


「ここ、また間違ってる。」


黒く、肩まである髪。
赤いフレームの眼鏡をかけ直し、宿題のプリントを差し出す。


『えぇー……』


「えぇー……。じゃない。
ほら、教えてやるから来い。いい加減じっとしろ。」

『だってぇ…』

「あのなっ!!
お前が赤点なんか取るのが悪いんだろっ。進級が危ういからっ、こうやって勉強教えてやってるんだっ!!」


頼んでないよー。


「……んだその目は。頼んでない、って顔だな」

『すごっ!!エスパーっ!?』

「ほんとに怒るぞ。」


とか言いながら、
達也は丁寧に間違った所を解説してくれる。


さすが優等生ー。


「…だから、こうなって………、…………聞いてる?」

『ね、達也。』

「あ、聞いてない。」


『やっぱ、そんなに必死にお勉強を教えてくれるのは、

私と離れるのがイヤだから?』

「ッな!?」

『私が進級出来なくなったら、離れるでしょ?

彼女と離れるのは寂しいから?』

「ちちちがっ、んなわけねーだろっ!!」


動揺してるぅ。
かわいー。


私はニヤニヤしながら達也を見る。



『私に惚れたくせに。』



「うっ……」



『あははー。そーだよねー。達也から告白してくれたもんねー。寂しいよねー』


「…なんだよ。なんか俺だけが一方的に惚れたみたいじゃねーか。」



動揺してズレた眼鏡をはずす達也。



なんだか拗ねてるようにみえる。


あはは。やっぱかわいー♪


『そんなことないよー。だってそうだと私、こんなとこ居ないし。
こんなイケメンほっとかないよ』

「なにそれ。面食いかよ。」


『んふふー♪それもそうだけど、ぜぇーんぶ大好き。』




特に。











彼が眼鏡をはずすとき











愛おしくてしょうがない。





別に眼鏡マニアとかじゃなくてね。


















fin...











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