お題

□ふれて、
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昼休み…

学校の屋上に向かう途中、
俺は名前を呼ばれた。






「かずー」


『ん?―ぅわっ!?

……も、何?ビックリした。』



いきなり後ろから恋人の早苗が抱きついてきた。

まぁ、いつものことなんだが…。




「ごめーん…」


へらへら笑いながら謝る早苗。
相変わらず俺の腰にひっついたまま。




『…どーしたの。なんかあった?』

「…クラスメイトと喧嘩した。」

『ふーん…、…そっか。』

「うん。」




後ろから抱きついてきた為、
早苗の顔は俺には見えない。


きっと泣きそうな顔をしてるんだ。


俺の背中に額をくっつけて、
少し震えている。



『…早苗、こっち向いて。』

「…いや。」

『顔、見せて。』

「…やだ。」


『……はぁ。』




呆れてため息を吐くと、

少し早苗が反応した。



「……かず…?」

『ん?』

「怒ってる?」

『怒ってないよ。なんで?』

「…ため息、つく、から…」

『だって早苗の顔見えないもん』

「…今絶対ひどい顔してるから」

『いーよ。早苗は早苗だから。

…顔、見せてよ。』




渋々、早苗は俺の腰から腕を放した。


やっと早苗が見れた。



予想通り、少し涙目になっていた。



「……」


『早苗』

「!」



コツン、



と、

俺は自分の額と早苗の額をくっつけた。




「……かず……?」


不思議そうに、俺を見詰める。



『早苗ならすぐにその子と仲直りできるよ。大丈夫。』



俺は笑ってそう言った。



すると、また泣きそうな顔になって、

早苗は笑った。




「……うん、そだね。」

『うん。』

「かずのおでこ好きだよ。」

『そう?』

「うん、大好き、ありがと」

『どういたしまして。…俺も好き。』





















満たされる、ボクら




















fin...










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