Novel
□Heart line
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彼は私の親友の恋人。
私は彼の恋人の親友。
それが二人の絶対領域
―――Heart line―――
「初めまして。白井 流祈(なぎ)です。」
「初めまして…。夏川 明日香(あすか)です…。」
目を奪われた藍色の髪に翡翠の瞳。
端正な顔立ちが自分に向かって微笑んでいる。
……頬が熱くなるのを感じながら、胸の鼓動が早くなるのを抑えるのに必死だった。
高校からの親友の日向(ひなた)に大学に入ってから紹介された、彼女の彼氏。
最近付き合い始めたのだとか…。
「流祈、かっこいいでしょ!だから好きになったんだ〜。」
「日向!」
びっくりするような彼女の発言に思わず自分が声を上げてしまった。
しかし、気にすることなく笑顔のままの彼。
「も〜冗談よ。じょ・う・だ・ん。明日香は真面目ね〜。」
いつもなら笑える言葉が、やけに恥ずかしくて。クスクスと笑っている彼女をよそに耳まで赤くなっている自分がいた。
「……悪かったな。」
ぼそっと呟き俯く。
それでも変わらず微笑む彼を、何故だか直視は出来なかった。
「ま、そこが明日香の良い所なんだけどねー。でもそんなんじゃ何時まで経っても彼氏出来ないわよ?」
「別に、彼氏なんていらないし……。」
「またそんな事言って。彼氏いた方がぜーったいに楽しいよ!ね、流祈。」
賛同を求められ、困った様に眉を下げつつも、優しげに微笑むその笑顔は崩さない彼。
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